第7章 第六話 千年の剣士
サルディーニ家に到着した彩音と不二は、特に手がかりも掴めず、仕方なく夕食を食べていた。
サルディーニ家の庭で、食事が振る舞われているのだ。
「このあとどうするの?」
彩音の言葉に不二が顎に手を当てて考え込む。
とそこへ、ベランダから声がした。
「勇者諸君!」
2人で視線を向けると、そこに立っていたのは2人の貴族の男。
庭にいた全員が静まると、男は話し始めた。
「既に知っている事とと思うがサルディーニ家のクラウディア嬢が、ビットリオと名乗る賊に攫われた。…ここにおられるサルディーニ氏も、心を痛めておる」
少し後ろで目を伏せている男が、どうやらクラウディアの父親のようだ。
「私は名誉あるパレッティ家の跡取りとして、その家名にかけて、諸君らに約束する。我が婚約者、クラウディアを…」
「婚約者?」
16歳で、あんなおじさんと…?
彩音が少しだけ顔を引き攣らせて呟いた。
「クラウディア救出を成功した暁には、パレッティ家の財産の10分の1を授けよう!」
ザワッと辺りが騒ぎ出す。
だから警察とかではなく、賞金稼ぎがきたのかと、2人は納得した。
「クラウディア…お前がこんな親不孝者だったとは…」
何がビットリオだ!とイライラしてる様子のサルディーニ。
そんな様子を見ながら、彩音と不二が窓から構わず侵入した。
「な、なんだお前たち!?」
「こんなところから失礼します」
「怪しい者ではありません、黒の教団です」
驚いたようなサルディーニの表情。
どうやら黒の教団の事を知っているようで、サルディーニはクラウディアの話を始めた。
「中世の剣闘士が現れたなどと娘が言いだしたのは、1ヶ月前のことだ」
彩音が騒がしい外を遮断するように窓を閉めて、ソファに座っている不二の傍へ行く。