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船上の医師

第2章 正義の致死量


「……!胃洗浄の準備を!」
「はい!」
 看護師が素早く34Frの太さの胃管を用意した。先端は丸くコシのあるそれを経口的に挿入する。救急隊員によれば、この患者はマンションの自室の玄関先で倒れてる所を他の住民が見つけて通報したとか。

 もしこれが極力バレないようにしたリスカ跡なら、薬物を大量に飲み干したりする可能性もある!とはいえ、対象薬物の1時間以内でしか胃洗浄は適応されない。薬物中毒による心肺蘇生の場合、特異な治療はないのだ。しかし薬物中毒である事を疑わなければ、心肺停止患者を診た時に原因は判明しない。薬物中毒の可能性が疑われる場合は、通常より長時間の心肺蘇生の正当性がある。

 心停止すれば5分も経てば救命率は25%に減る。しかし急性薬物中毒ならば3時間から5時間の心肺蘇生後に良好な神経学的予後の報告がある!一か八かだが、雪乃は自身の閃きに賭けた。胃洗浄が始まる。来い、来い……
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