第14章 ♪龍地洞ってどんなとこ?
死を予感すると、すべての動きがスローモーションに見えるって本当だった。
蠢く蛇やガマ吉、マダラ、蛇のような大蛇丸、異様に長い髪を伸ばす自来也様。
視界一面に広がる様々な事象が全てはっきりと視認出来る。
けど、それだけ。
視認できても動けないんじゃ、どうにも出来ない。
あぁ、私は何の為にここまでやってきたのか。
結局、運命は変わらないのか。
イタチを助けるどころか足枷になるなんて…。
「…ごめん。」
ごめん、イタチ…。
無数の蛇の顔が間近に迫ったその時、薄橙色の何かに包まれて落下速度が一瞬緩やかになり、誰かの腕に抱き留められた。
そして、そのまま視界が黒い衣で覆われる。
「え…?」
そっと見上げると…。
「イ、タチ…?」
何、で…?
イタチの向こう側には、空一面にカラクリが広がっていた。
どうなってるの?って聞こうと思った瞬間、ぐらりと視界が回って、体が痙攣を起こしたように小刻みに震え始める。
思い当たるのは一つ。チャクラ切れだ。
底をつき、遂には生命維持に使うチャクラにまで至ったらしい。
「エニシ?大丈夫か?」
少し焦った声が聞こえるけど、呼吸が浅く、くらくらして視界が定まらない。
「首の後ろ側に…五行封印が…。」
それだけ言うと、すぐ様見てくれた。
手を当てられて何かが取れた感じがして、封印が外れたことを感じる。
左手の呪印に手を当てると、即座にバルブを閉めた。