第10章 ルーツを探しに出かけましょ
狭い螺旋階段を降りきると、六畳ほどの隠し部屋へと辿り着く。
一人で入るには十分だが、この人数だと手狭になる。
この部屋もやはり壁や床など一面が石造りだ。
「本格的な隠し部屋…。」
エニシは、ぼそりと呟きながら写輪眼で辺りを見回す。
「何か見えるか?」
「あの奥に何かありそうだなってことくらいしか分からないですね。」
指を指す先は最奥の中央壁部分。
一見すると何の変哲もないそこへ、シュカが印を組んで親指を少し切り、壁に手を当てる。
すると、ブロックが複雑に前後左右に動き出し、空間が出来上がった。
そこにあったのは、一振りの打刀。
「うわぁ〜…。ここ建てた人って誰なんですか?」
「え?あ、いや〜、俺はよく分からなくて…。」
興味津々に尋ねたのは妖刀ではなく、カラクリの方だった。
問われたソウイチは妖刀をちらりと見た後、困った様に笑いながら頬を掻いた。
「みんな封印を解けるわけじゃないんですよね。どうやって血を読み取ってるんだろう…シュカちゃんの一族なら誰でもって訳じゃなさそうだし…」
ぶつぶつと半ば独り言の様に呟きながら、誰に聞くでもなく、部屋をぐるぐると歩き出す。
エニシはそっちのけで、カカシ以外の面々は妖刀に注目する。
「石の素材が特殊…?それともどっかに方陣でも描いてある…?…ふふん。よっしゃ、いっちょ探ってみますか!」
「やめろ。趣旨が違うでしょうが。後にしなさいよ、後に。」
「ちぇっ、面白そうだったのに…。んじゃ、上に戻って見張りすればいいですか?」
「そうしてくれるんなら助かるけど…。お前、妖刀に興味ないの?」
妖刀なんてそうそうお目にかかれるモノではない。
実物があるなら見てみたいと思うものではないだろうか。