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【名探偵コナン】sangría

第36章 女の秘密



あまりに衝撃的な話に、なんて言葉を発したらいいのか分からなかった。

狼狽えている私とは裏腹に、父親の形見であろう眼鏡越しに見えるジョディの瞳は、凛としていてとても美しい。
その瞳を見ていると、彼女の持っている強さがひしひしと伝わってきた。


普通なら絶望して全てを投げ出してもおかしくないはずだ。齢一桁の幼い少女が、一夜にして全てを失ったのだから。その時の彼女の気持ちは、私なんかには計り知れない。
それでも尚、ジョディは信念をもって今日まで生き続けている。仲間からの信頼の厚い優秀なFBI捜査官として、日々任務に励んでいるのだ。



「あなたの過去を、話してくれてありがとう。
……ごめん。こういう時、なんて言うべきなのか分からないくて、一丁前に声を掛けられるほど立派な人間でもないし。
だけど、一先ず私が言いたいのは、私はジョディと友達になれて嬉しいってこと。
強くて、優しくて、明るくて、聡明で、そんなあなたを心から尊敬する。
そうやって本当に尊敬できる友人なんて、簡単に作れるものじゃないでしょう?だから、私は本当に幸せ者なんだなって…、いや、私の話はどうでもよくて、あの…とにかく!あなたは私の自慢の友達ってこと!
…って、何言ってんだろ」


だいぶ脈絡なく話をする私を見てジョディは少し驚いたようだったが、その後すぐにクスクスと笑い始めた。



「そ、そんなに笑う……?」

「ふふ、ごめんなさい、必死に喋るあなたが可愛くて。
ありがとう、慰めだとしても嬉しいわ」

「慰めなんかじゃないわよ!本心!!」

「知ってる」

「……揶揄ったな」

「いつもはあなたの方が上手だからね。たまにはいいでしょう?」



そう言いながら、ジョディは頬杖をついた。若干勝ち誇った顔をして。

その姿には何だかとても既視感があった。まるで、お節介で過保護なあの人。
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