第23章 中継
「残念だけど、時間がかかり過ぎてしまうわ。
今からサイバー犯罪対策課と合同で捜査を始めても、各国に問い合わせをしてその応えが来るまでに最低でも3日間。
そこからサーバーを調べていって、それがもし民間業者のものだとしたら諸々の手続きが必要になるから更に時間がかかる。
もちろん、他に比べたら早くは出来るだろうけど、明後日なんて到底間に合わないわ」
それでも手を打たないよりかはましだということで、部屋の外で待機していた新人にサイバー犯罪対策課への合同捜査の件を報告に行かせた。
この話が青柳に伝われば、すぐに捜査を開始してくれるだろう。
「で、でも、何で高木くんがこんな目に……」
「彼は、あまり人に恨まれるタイプじゃ無いんですが…」
佐藤と白鳥くんの言う通り、確かに高木くんに恨みを持つ人物は少なそうだ。
あの性格だし。
「刑事は恨まれてなんぼの商売。
どこで恨みを買うか分かりはせんよ」
「ま、松本管理官!!」
松本管理官の登場に、私だけでなく皆が背筋を伸ばす。
「目暮、高木が昨夜誰かに会うためにどこかに1泊すると言っていたのは本当か」
「ええ、モノレールの時間を気にしていたので、恐らく羽田空港に向かったものと」
「じゃあ、羽田空港に連絡して昨夜の乗客に高木渉の名前が無いか問い合わせろ!」
「分かりました」
「白鳥、お前は高木の住まいへ行き、パソコンのメールや郵便物をチェックし、高木が会おうとしていた人物を探れ!」
「はい!」
「千葉はタブレット映像の監視だ!
充電が出来んことを考慮し、1時間ごとに10分だけつけてその映像をビデオに取りながらチェックするんだ」
「はい!」
「佐藤は別室で待機させている子供たちの事情聴取だ!
何しろ被疑者に接触した大切な証人だ。被疑者の容姿はもちろん、癖や言葉遣いに至るまで残らず聞き出せ」
「はいっ!!」
「残った者は、高木が今までに捜査上関わった人物を全て洗い出せ!
被疑者被害者を問わず、全てだぞ」
「「「はい!」」」
管理官の指示で、捜一の面々が一斉に持ち場に散った。
その指揮能力の高さは、やはり流石だ。
「、お前はその頭脳と能力で我々に力を貸してくれ」
「はいっ、もちろんです」
この場のみんなが、高木くんを助けるために動き出した。