第11章 さよなら、ごめんなさい、そしてただいま※
すると
「……わかった!そこまで言うんなら…あんたを雇ってやろうじゃないか!」
おばさんは、私に向けニッコリと笑みを浮かべながらそう言った。私は下げていた頭を上げ
「…っありがとうございます!私…頑張ります!」
うるさいと思われてしまいそうなほどの大声でお礼を述べる。
「はっはっは!元気で可愛いお嬢さんだねぇ」
そんな私の行動におばさんは楽しげに声を上げながら笑っていた。
「…っ…」
なんだかその笑顔に、肩の力がふっと抜けたような気がした。
「あの…それで…私たった今この街に来たばかりで…住む場所もなくて…可能であれば、住み込みで働かせてもらいたいんですけど…」
その言葉に、私の顔を見ていたおばさんの視線が、私が腰掛けていた席の方へと向けられる。私が座っていた場所には、私が乱雑に詰め込んできた荷物が入った風呂敷包みがドンと置かれており、いかにも"訳ありです"という臭いがプンプンとする。
…やっぱり…怪しいと思うよね…
途端に断られてしまうんじゃないかという不安が込み上げて来た。けれども
「うちは私と…今は病で伏せっちまってる私の旦那の二人暮らしだ。あんたが大丈夫ってんなら、部屋は余ってるから全然構わないよ。もともと住み込み可で張り紙もしてたしね!住み込みで、たくさん働いてもらうから覚悟しておきなよ!」
おばさんは何も聞かず、更には私を励ますように戯けながらそんな事を言ってくれた。
「…っありがとうございます!店の仕事以外にも、家事や雑用…なんでも、喜んでやらせてもらいます…どうかよろしくお願いします!」
その気遣いが、嬉しくて、私は再度頭を深く下げた。
「よし!じゃあ今日はもう客も来ないだろうし、店閉めて早速仕事の説明でもさせてもらおうかね」
「はい!よろしくお願いします!」
そう言いながら顔を上げた。けれども私には
「…あの…その前にもう一つだけ…いいでしょうか…?」
きちんと伝えておかなければならないことがある。