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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第17章 月嗤歌【All Characters(別邸組)✉*♟】


「———………っ!!」

紡げぬ唇を叱咤しても、零れ落ちるのはかすかな吐息だけ。



「そろそろ……だな」

意味深な声に眉が寄る。けれどその言葉の意味はすぐにわかった。



(な、に……これ…………。)

視界が霞に覆われ、心臓が急いて脈打つ。

湯上った直後のように身体の奥で陽だまりが宿り、その身は熱く火照っていた。



「身体、熱くなってきただろう」

攻めてもの抵抗と首を振って睨み付けるも、彼はくすくすと嗤う。




「まぁいい。そのうち、たまらなく俺が欲しくなる筈だ」

そう言うや否や、唇が重ねられる。

あまりの不快さにきつく歯列を閉じ合わせ、首を振って拒絶するも、

顎をつかまれてその抵抗は封じられる。




(嫌ッ………!)

ぎゅっ、ときつく瞳を封じた眦に涙が浮かぶ。

冷たい唇に口内を貪られ、

のしかかってくる身体を押しのけたいのに、身体は言うことを聞かない。



まるで毒に痺れたように、指一本動かすことすら儘ならなかった。
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