第39章 桜餅か桜酒か(信玄様&謙信様)
「謙信様、そんなに怒らないでください。きっと佐助君が間違えたんですよ。
せっかくなので3人で楽しく過ごしましょう?
おやつが終わったら何をしましょうか?あ、ただし二人羽織と王様ゲームはナシでお願いします。もうこりごりです」
信玄「姫の言う通りだな。3人で過ごすのは滅多にない機会だ。
姫は俺達と何がしたい?」
「お二人にお任せします。信玄様は何かしたいことないですか?」
謙信「っ、信玄に決めさせるな。こいつの頭には女と戯れる事しかない」
不機嫌な謙信と目を細くして笑う信玄。
これをなだめるのはいつも佐助と幸村の役目だ。
手強い二人の諍いを上手くなだめられるか舞は若干不安そうにしている。
信玄「へえ。そういう謙信こそ舞と二人きりで、何をしようとしていたんだ?」
謙信「……」
信玄様の片眉が愉快そうにあがった。
信玄「謙信も考えていることは同じだろ。
姫、むっつりな男には気をつけろよ」
「まさか!謙信様に限ってそんなことないですよ」
女嫌いの謙信が邪(よこしま)なことを考えるはずがないと舞は思い込んでいる。
愛していると言われたことさえ忘れて、信玄の忠告をまさかと笑い飛ばした。
「さあ喧嘩はここまでにして、あ、そうだ!お二人は囲碁はできますか?
小さいころ祖父に教わって少しならできるんです。一緒にやりませんか?」
囲碁ならば信玄も謙信もできる。
しばしの暇つぶしにと謙信は囲碁の用意をさせると、久しぶりの囲碁板に舞が目を輝かせた。
順番を決めて初戦は舞と謙信と、次戦は舞と信玄に決まった。
祖父を何度か負かしたことがあるから、うまくいけば勝てるかもしれない。舞が張り切って挑んだ勝負だったが2試合ともあっさりと負けてしまった。
たとえお遊びだとしても勝負ごとになると2人とも雰囲気が変わり、舞は向かい合わせで座った時点で迫力負けしていた。