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【呪術廻戦】抱きしめてそばにいて

第6章 偽の彼女



思春期真っ只中という感じの彼は、誰に何を言われようが。己の考えを貫き通すそんな人物だった。




人により態度を変える事も。意見を変える事もなく。




ただひたすらに自分の思うままに生きる悟が、いつしかカッコイイと思うようになった。




五条家なんてクソだとか、クソな大人に囲まれて生きてきただとか言っていたけれど。そんな中でも自分をしっかりと持って、ありのままの自分でいる悟を凄いと思ったし、とても真っ直ぐなんだと思った。





悟とクラスメートになり、友達になり。




悟はどんなに口が悪くても。憎まれ口を叩いても。実は友達思いの優しい人だと知った。




呪術の天才だと言われているけれど、ただの天才ではなかった。実は影で凄く努力しているのも知った。まぁもちろん表にはそんな素振り一ミリたりとも見せはしないけど。だけど私はそんな悟の事もちゃんと知っていた。




次期五条家当主だからじゃない。



五条悟だからじゃない。




悟は悟だから。自分が思うままに生きて、努力して、私達と何にも変わらないそんなただの男子高校生だったんだ。




自信に満ち溢れ、いつだって強いその背中が私は好きだったし、とても信頼していた。




まぁもちろん性格は難ありな部分もあるけれど。




それすらプラスにしてしまうような、悟はそんな人だった。





だから私は、あの日の悟の苦しそうな表情を…あの日の思いを…




きっと一生忘れることはないだろう。





「……っさとる」





悟が悟として…初めて人に弱さを見せたあの瞬間を…。



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