第29章 五条家当主
「悟も着物すごく似合ってるよ」
あまりに私の事を褒めてくれるものだから、思っていた事をそう口にすれば、隣で顔をくっ付けて写真を撮っていた悟は一瞬動きを止めると。
「……んンっ…」
私の肩に腕を回していた手を頭に回すと、そのままこちらへ抱き寄せるような形で唇を奪った。
「…ふ…はあっ」
いつのまにか閉じられていて唇は割るようにして悟の舌に絡めとられ、熱い吐息が重なり合う。
空気を求めるようにして大きく口を開けば、その隙をつかれるようにしてさらに奥まで舌が侵入してきた。
「リンに褒められて興奮しちゃった」
「…んっ…さと、る…」
サングラスを外した悟は、目尻を下げると楽しそうに口角を上げて私の唇を舐めとるようにして微笑む。
しばらくして互いの唇が離れ、はぁはぁと大きく息を吸うようにして呼吸する私に悟が腰あたりを引き寄せ抱きしめると
「でも今日はここまでにしとくよ、身体疲れてるだろうからね」
私の額にコツンっと自身の額をくっ付けると、少しだけ名残惜しそうに私の頬に触れながらもう一度優しく唇にキスを落とした。
確かに…さすがに今日は少し疲れてしまった。
男相手で10人以上はやっぱりいくらなんでもキツかったようだ。
「今日はもう家帰るの面倒だし、ここに泊まって行こうか」
「平気なの?」
「もちろんだよ、だって権限は僕にあるんだから」
確かに、そっか…悟が良いって言うなら誰もダメだとは言わないか。