第22章 揉め事
寝ぼけながらでも僕の名前を呼んでくれる事に嬉しさを噛み締めながら。
だけど、男と笑顔で酒を飲んでいた事にもイラ立ちながら。
僕はTシャツから覗く首筋へと唇を落とすとジュッと音を上げ吸い付いた。
すると、まるでパッと花が咲いたみたいに紅い痕が広がる。
ソレをしばらく見つめたあと、今度は軽くTシャツを下へ引っ張り胸元に…そして鎖骨に…もう一度首筋に…と、一つづつ花びらを残していく。
リンは僕のだ。
この華奢な身体も。
可愛い声も。
眩しい笑顔も。
全部全部僕のものだ。
他の誰にも渡さない。
他の誰にも触れさせない。
僕がこんなふうに、ただ睡眠を目的として女と同じベッドに眠るなんて。リン以外からしたら考えられないだろう。
こんなふうに彼女を迎えに行くのも
しかも酔っ払った彼女を抱えて服まで脱がせてあげるなんて…
本当、リンってすごいよ…
僕をここまで夢中にさせちゃうんだからね。
きっと傑が今の僕を見たらめちゃくちゃ笑うんだろうな。
いや、それとも呆れるかな。
もしかしたら、まともな人間になったなって褒めるかもしれないね。
「…リン、おやすみ」
僕はそっとリンの唇へキスをすると、今日はシャワーを浴びるのは諦めてそのまま瞳を閉じ眠りへとついた。