第22章 揉め事
リンの手を引きながら、ふらふらと歩く彼女へ目をやれば。
嬉しそうに「えへへっ」と笑いながら僕を見上げている。
はぁぁ、その顔されると一気に怒る気なくすんだよなぁ。
「ほら乗って、早く」
「はぁい」
タクシーへとリンを乗せ、隣に乗り込めば僕の腕をぎゅっと抱きしめ引き寄せるとそのまま肩へ頭を乗せて目を瞑る。
「さとるーお迎え来てくれてありがとぉ」
「こんな酔っ払いほっとけないからね」
「そんなに酔ってないけどなぁ〜ほどよい感じだよぉ」
「はいはい、酔いが覚めたら僕ときちんとお話ししましょうねー。次こんなふうに僕以外の男の前で酔っ払ったらどうなるか、ちゃんと教えないといけないからね」
車に乗り眠くなってきたのか、うつらうつらとするリン。
「もうそろそろ着くよ」と言えば「うん…わかったぁ」と言ってそのまま瞳を閉じてしまった。
だめだこれ、もう僕以外の前で酒飲むの禁止だわ。
僕はタクシーから降りると、眠ってしまったリンを抱き上げそのままリンの部屋ではなく僕の部屋へと向かった。
寝室へと入ると、そのままリンをベットへと下ろす。
「上着だけでも脱がしとくか」
リンの着ている黒の上着に手をかけそれを脱がせると「うーん」と言いながらリンが寝返りをうち僕の腕を引っ張る。
「……さと…る」
寝ぼけているのか、目を瞑ったまま僕の名前を呼ぶリン。
そのまま掴まれた腕に流されるようにして僕もベッドへと横になれば、そのままリンをそっと抱きしめた。