第20章 心配症
ーーーーーッドッガガガーンッッ!!
爆風と共に、周りの瓦礫が私目掛けて飛んでくる。
「……ック…」
砂埃のせいで視界は悪く、交わしきれなかった瓦礫が私の額を掠めた。
あの呪霊…大きいくせに恐ろしく速い。それにパワーも尋常じゃないッ
私は吹き飛ばされた体制を空中で立て直すと、一つ隣の建物の屋根へと着地した。
額からかなりの量の出血をしているのか…目元まで血が垂れてきている。
私はそれを乱暴に服の袖で拭き取ると、右手に握っていた刀をさらに強くギリッと握りしめた。
足を軽く開き、そこへ呪力を込める。
次の瞬間、覆いかぶさるようにして襲い掛かる呪霊へ冷静に視線を移した。
タンッと力強く込められた足の力で呪霊の背後へ瞬時に回る。
「………陰影呪法…
ーーーッ鈴乱!!!!!!!!!」
………リンっ
暗く静かな空間に響き渡る美しい鈴の音。
そして、黒い影がまるで槍のように一斉に呪霊を串刺しにすると。
その呪霊は弾け飛び粉々に砕かれた…。
「……はぁ」
思わず口から漏れ出るため息。
久々に手こずったな…思ったよりも強かった。
「それにしても…血…結構出てるなぁ」
そうポツリと呟いて、刀を背中の鞘へとしまう。
額から目元へ、そしてそのまま顎下へとぽたりぽたりと垂れる血。
結構な出血量だ、当たりどころが悪かったのかな。あとあの呪霊瓦礫に呪いを込めてたな…血が止まらない。
とりあえずポケットから携帯を取り出すと、帳を解いてから補助さんへとお迎えの連絡をする。
幸いにも迎えは早く来てくれて、刀を下ろすとそのまま黒のセダンへと乗り込んだ。