第19章 長年の気持ち
そして今度は、悟が私の両頬をそっと手のひらで包み込むと。
「もちろん、よろしくお願いします。僕にリンを…めちゃくちゃになるまで愛させて」
瞳を閉じた、悟の綺麗な顔が私へと近付いてくる。
それにつられるようにして私も瞼を閉じれば…
優しく、温かい唇が…そっと触れ合った。
私の頬に添えている悟の手がすごく熱い。
そのせいか、まるで熱に当てられたみたいな感覚になる。
悟はそのまま角度を変え、もう一度深いキスを落とすと。私の唇へとゆっくりと舌を這わせたいく。
そして悟の舌が私の唇を割るようにして入ろうとしてきた時だった。
静かな廊下にブーブーと鳴り響く機械音。スマホの着信の音だ。
私のポケットは震えていないから…悟のかな…
ボーする中、そんな事を頭の片隅で考えているけれど、悟は一向に電話に出ようとはしない。
それどころか、私へのキスを深く深くしていくばかりだ。
「…んっ…さと、る…電話」
「分かってるから…少し、黙って」
私が話した瞬間、悟は器用に私の口内へと舌を滑り込ませると、そのまま絡めとるようにして熱を送りこんでくる。
「でも…ずっと鳴って…ッふ…」
今だに鳴り続ける悟のスマホに、何か重要なことでも起きたんじゃないかと気になり始め、私は私の腰をグイッと引き寄せている悟から離れるようにして身体をよじった。
「何か急ぎなのかもよ…」
そう言い真剣に見上げる私に、悟は「はぁ…」と大きな溜め息を吐き出すと、仕方なさそうにポケットから携帯を取り出す。