第19章 長年の気持ち
「…やめて、今きっと僕…酷い顔してる」
私はそんな悟の言葉に、目を細め優しく微笑むと。白い包帯をスルリと下へと下ろした。
ゆっくりハラハラと解けていく悟の目隠し。
ふわりと白髪の髪が落ちていく。
その瞬間…あらわになった悟の碧色の瞳は
酷く歪み、今にも涙がこぼれ落ちそうになっていた。
私はそんな悟の目元に触れると、そっと瞼の上を滑らせる。
「悟…ごめんね」
私の小さく呟いた言葉に対して悟はさらに眉間にシワを寄せると「何これ、僕今から振られるの?」と言って、見たこともないほど苦しそうな酷い笑顔で微笑む。
「違うよ、お願い…聞いて」
真っ直ぐに見つめる私に、悟は不安そうな顔をした後、コクンと頷くとそのまま私を見下ろした。
「ずっと避けててごめん…私自分の気持ちが分からなくなったの。最近まで七海君を忘れられないってそう思っていたはずなのに、悟にドキドキしたり…悟に会えないと寂しく思ったりする自分がいて…どうしてこんな気持ちになるんだろうって…」
ポツリとポツリと話す私の話を、悟は黙ったまま聞いてくれる。
「でもね、さっき七海君に会って色々話して七海君への気持ちはもう恋心じゃないんだって気が付いた。私達…あまり話し合わないまま別れたから、多分それが私の中できちんと終わりきれてなかったんだと思う。さっき二人で話して、今までの気持ちを七海君に話してなんだか凄くスッキリしたの」
正直上手く話せているか分からない。分かりにくいと思われてるかもしれない。でもそれでもいい…今すぐにこの気持ちを悟に伝えたいんだ。