第9章 さよなら五条先生
返事がない。鍵はかかっていなくて、何か事件でもあったのかと怖々とドアを開けると、ガタンと室内から音がした。
ぼそぼそ話し声が聞こえてもう一度大きく呼んだ。
「スミレさん? いますかー」
「あぁ、ちょっと待ってね」
なんだか慌てている。嫌な感じがした。
いけないと思いつつ、部屋の奥を覗き込むと、ランジェリー姿に近いキャミとショーパンの格好したスミレさんが、壁に立つ五条先生の腕の中に倒れ込むみたいにしてもたれかかっていた。
五条先生も腰に手を回している。
「きゃっ!」
思わず口を覆った。と同時に大きな岩が頭上からズドンと落ちてきたみたいな衝撃を受けた。
全身が砕けたみたいになって、何も考えられない。まともに二人の顔を見れない。