The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
「和泉、和泉。ちょっとこい」
「ん?」
けーすけ君に手招きされて、佐野先輩達から離れた場所へと向うと首に腕を回されてからコソコソ話をする体制となる。
そしてけーすけ君の方へと耳を傾ける。
「アイツ、お前の性別知ってんの?」
「知ってる。なんなら龍宮寺先輩と佐野先輩は直ぐにバレたし、三ツ谷先輩にもバレてる」
「おまっ、お前……バレちゃいけねぇんだろ!?」
「そうだけどさ……」
けーすけ君は俺がなんで男装しているか理由を知っている。
それにバレちゃいけないのを知っているから、何度かバレそうになった時に助けてもらった事があるぐらいだ。
本当はバレてはいけない。
なのにもう既に3人にバレてしまっているのだから、溜息しかでない。
「つーか、アイツ……なんで女って知ってるのに東卍に入れようとしてんだ……」
「なんか気に入ったとかなんとか…」
「まじか…。お前ホント厄介な奴に好かれるな」
「好かれてるとは思わねぇけど…」
なんか俺の信念か何かが気に入ったとか言ってたけど…と思いながら溜息を零した。
するとけーすけ君は急に俺の頭を撫でてくる。
「にしても、ホント久しぶりだよな…」
「けーすけ君、急に連絡取れなくなかったから心配したんだけど」
「……ホント悪ぃな。にしてもお前、髪の毛切った?」
「いや、ウィッグだけど」
「ああ、カツラ!」
「ウィッグ!!」
ガシガシと頭が揺れるほど撫でられて、眉間に皺が寄ったが嫌というわけじゃない。
撫でられるのは嫌いじゃないし、けーすけ君はちょっとガサツだけど痛くなく心地よいのだ。
「と、そろそろマイキーん所戻るか。見ろよアレ」
「え?……うわぁ」
「ホント、お前の事気に入ってんだな。すげぇ不機嫌だしオレの事睨んでくるし。つーかお前、エマとは会ったのか?」
「会ったよ。今日」
「そっか。ほら、アイツの所行ってやれよ」
顎で佐野先輩の方をさしたけーすけ君に頷くと、俺は何故か不機嫌な佐野先輩の元へと向かう。
その際にずっと視線が刺さってくるし、何かコソコソと話している声が聞こえる。
その声も視線も全てウザイ。
気持ち悪いし、鬱陶しいと思いながら歩いていればふと誰かに睨まれているのを感じていた。
「おい、アイツ誰だ?やけにマイキー君とか場地君と親しいな」