The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第5章 聖夜決戦
ふらつく三ツ谷を和泉が慌てて支えた。
そんな和泉を見て、三ツ谷は苦笑を浮かべてしまう。
見ていろと言いながらも、みっともない姿を見せたと。
彼女の目元には涙が浮かび、今にも溢れだしてしまいそう。
そんな和泉の目元を親指の腹で撫でた。
「和泉、大丈夫だ。大丈夫だから、泣くな」
「隆さん……」
「ちょっと座ろう……」
三ツ谷は和泉に支えられながらも、柚葉が横たわる椅子の目の前に座った。
そして横にいる武道と千冬へと視線を投げかける。
「タケミっち、千冬」
「三ツ谷君」
「冷静になってよく聞け」
「状況は絶望的だ。大寿はバケモンだし、あとの2人も恐らくめちゃくちゃ強えぇ。それに対して東卍(オレら)ら、千冬はボロボロ。オレは正直動けねぇ。ピンピンしてんのはタケミっちと和泉だけ。でもオレは和泉を戦わせたくねぇ」
「隆さん!この状況で!」
「今日は和泉の誕生日なんだ。そんな日を血みどろになんかしたくねぇ」
隆の言葉に和泉は唇を噛み締める。
「でも、ここで負けたら柚葉はもっとびい目に遭う。殺されてもおかしくねぇ」
「だからそうならない為に、私も」
「それは駄目だ」
「隆さん!」
「オマエの誕生日を、血で染めたくねぇ。怪我なんてさせたくねぇ。コレはオレの我儘だし意地なのも分かってる。だけど……理解してくれ」
三ツ谷のこれは意地でもあった。
和泉は恐らく大寿とやり合う気なのだろうが、相手は和泉より体格が倍ある。
怪我は恐らくする。
和泉が弱くないのは知っているし、強いのも知っているが、怪我はするはず。
(折角の誕生日に、痛い思いなんてさせたくねぇ……)
そんな三ツ谷の思いを知らない和泉は苛立ちを見せていた。
やっぱり動きやすい服で来るべきだったと。
(このワンピースで来るべきじゃなかった。これじゃなかったら……)
もし、大寿とやり合いをすればこのワンピースは汚れる。
せっかく三ツ谷が作ってくれた、真っ白なワンピースが。
「和泉、三ツ谷君の言う通りにするべきだ」
「千冬、オマエまで……」