第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
≫岩泉side
あれから3ヶ月が経ったけどあれから及川がいちかに触れる事は一度もなかった。むしろ3人で顔を合わせる事もなくいつもと変わらない穏やか過ぎる日常に何か悪い夢を見ていたかのようなそんな気さえしていた。ただ前のように自由にいちかには会えないという事だけが気掛かりだった。
しかも明日から泊りがけの研修。俺の目の届くうちはよかったけど俺がいない間の3日間はいちかと及川の事が心配だった。今は直接会えないし、学校で会っても生徒と教師としての挨拶程度。電話越しで聞く声とメッセージアプリでのやりとりが唯一恋人としていられる連絡手段だった。
“ほんとに大丈夫なのか?”
“心配しすぎだよ。あれから3か月も経つのに及川先生とは挨拶しかしてないんだよ?先生だってそうなんでしょ?”
“まぁな。けどあいつはいつも何考えてんのか分からねぇとこあるから俺がいない間は心配なんだよ”
“でも私が先生のところに行かなきゃいいんでしょ?学校終わったら真っ直ぐ帰ってるし…、あ、でも明日は友達と買い物行く予定だけど”
“及川と関わらなきゃそれでいい。学生生活ももう少しなんだから今は楽しめよ”
“うん。……でも先生に会えないのはやっぱり寂しい。研修中は連絡もあんまりとれないって前に言ってたし”
“研修後はレポートにまとめとかねぇとその後困るんだよ。だからメールくらいはできるから、何かあったらすぐに言え”
“はーい、分かりましたぁ。……でも先生も大変だね。泊りがけの研修会なんて”
“こんなもんだろ?普通のサラリーマンだって出張とかあんだし”
“それより先生、今回は東京に行くんでしょ?”
“ああ…”
“卒業旅行、連れて行ってね。前に旅行でもって話してたけど在学中は及川先生の事もあったし行けそうにないもんね”
“そうだな…。前に旅行でもって話してたのにそれどころじゃなくなったもんな”