第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
「あーあ。ほんと嫉妬しちゃうくらいいい光景だよね…。岩ちゃんと繋がってるいちか、すごく綺麗だよ」
息をするのが精一杯ないちかの頬に自身を押し付ける及川。
「やめろ。…無理、させんな」
「それはダメ。今日からいちかは俺と岩ちゃんのものだから…。繋がる時は一緒だよ?」
「お前、何言ってんだよ」
「だってさ、いちかはもう岩ちゃんだけじゃ満足できないよ」
「意味分かんねぇ。お前、いちかに何したんだよ」
「何もしてない。セックスだってしたこともない。ただいちかにしてもらっただけ。ね、そうだよね、いちか……」
薄く開いた口元に無理やり腰を落としていく及川。いちかも力なくではあるが及川に従う様に舌を這わせる。及川に従順な様子が明確な答えだといちかに言われているようでどうしようもないやるせなさが胸を締め付ける。
「俺が欲しくなったんだよね。最初は嫌々だったんだけど途中からいちかも気持ちよくなっちゃんだよね」
「…んなもん俺は認められるわけねぇだろ。第一いちかは俺の…」
「彼女でも関係ないよ。それにいちかは今でもちゃんと岩ちゃんの彼女でしょ?ただ今起こっている現実は全部いちかが望んだ事」
“いい子だね”と髪を撫でられるいちかのうっとりと蕩けた表情は否定したいと願う僅かな想いも奪っていく。
「だから目を背けないで。愛してるならありのままのいちかを受け入れてあげてね」
俺の知っているいちかはもういないのだとその時に初めて理解した。
「いちか…、これからしっかり俺たち二人を愛してね」
及川のモノを咥えながら小さく頷くいちかと目が合えば自分の中で築き上げたものが崩れ去り、それでもいちかを失いたいくないという想いだけが空っぽの心に残る。
いちかの潤んだ瞳に映るのは俺と及川の姿。
今、この瞬間から俺はこの関係から逃げられないのかもしれない。
next.