第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
≫夢主side
その日はいつもと変わらない金曜日だった。ただ一つ違ったのは、昨日と今日の二日間、及川先生は出張で学校には来ていなかったということだけ。
誰にも邪魔されず愛おしい恋人を想うだけの二日間。平和といえば平和。だけど物足りないといえば物足りない。そんな矛盾した気持ちが心に影を落とすようにどこか浮かばないままだった。
放課後にはクラスメイトはみんな帰ってしまっていて私一人がぽつんと残っていた。及川先生からの連絡を待ってるわけじゃないし何もない日くらい帰ろう…、なんて俯いた時、スマホがメッセージの受信を知らせる。相手は他でもない及川先生だった。
“進路指導室にいるよ”
用件はそれだけだったけど、今学校に戻ってきてるの?なんて期待さえしてしまう。もはや条件反射のようにこの誘いだけでスイッチが入る。
スマホをそっとポケットにしまうと私は席を立って教室を後にした。無性に及川先生に会いたくて、はやる気持ちを抑えながら準備室へと向かった。