第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
「という事で一応教師としての聞き取りは終わりね。次は俺自身、ひとりの男としての質問」
「質問ですか?」」
「二人がこれからどうしようとかそんなことは二人が決めればいいんだけどさ、実のところ俺はまだ納得できてない部分もあるんだよね」
「え……?それ、どういう意味ですか?」
「俺も柳瀬さんを好きだったってことはないんだけど、…でも岩ちゃんがそんなに夢中になってるんだから興味はあるよね」
どういうことなんだろう。何度先生の言葉を脳内で理解しようとしても言っている意味が分からない。
「今日の二時限もさ、ずっと寝てたよね」
「…ごめんなさい」
「昨夜はそんなによかったの?」
「は?」
「だって泊まったって事は、そういうことしたんだよね?」
「…それは、言わなきゃだめなんですか?」
「知りたいな。…すごく」
「や、でも…っ」
「仮に俺が岩ちゃんの立場ならせめて卒業するまでは待っただろうし、外で会うなんてしないと思う。誰かにバレた時のリスクを考えたら軽率な事できないよ。今日の事だって俺以外の人に見られたら柳瀬さんは退学、岩ちゃんもクビだっただろうね」
「クビ…」
「当たり前じゃん。実際生徒に手を出してるんだから、クビだけじゃ済まされないかもよ」
そうなったらもう将来どころじゃない。お互い気をつけてるっていったって今回みたいに誰かに見られちゃってた訳だし…。及川先生の言う通り軽率すぎる。
「それを俺は黙っててあげるんだからさ、二人がどういう関係なのかくらい教えてもらってもいいでしょ?」
「それは…」
「俺には知る権利、あるよね?」
まるで脅し文句だ。もしここで私が言わないって選択肢を選んだら……。
「どうする?」
「……先生は、何が聞きたいんですか?」
「そうだね。普段どんな事してるとかそういうの。…あ、普通の事言ってもつまんないからさ、どんなプレイしてるとかそういうのにしてね」
「は?…何でそんな事」
「だってそっちの方が面白いじゃん。それ以外理由はないよ」
「そんなの…」
「じゃあ質問。初めての相手ってやっぱり岩ちゃんなの」
ひとり楽しそうに口角をあげて私を見つめる目は答えを催促してるみたい。今更になって自分の我儘を後悔したってもう遅い。全部自分が蒔いた種だ。