第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
「そうか。…うちの生徒かと思った」
「仮にうちの生徒だったとしても先生には言わないよ」
「なんでだよ」
「女同士の秘密。こんなプライベートな事、誰にも言えないよ。守秘義務くらいあるもん」
「しっかりしてんだな、案外」
「だって彼氏様がしっかりしてますから。それにうちの彼氏様は避妊云々もちゃんとしてくれてるもんね。ね、先生?」
「先生って言われながら言われてもな…。つかさ、二人でいる時くらい下の名前で呼ばねぇの?」
「だって癖になったら学校でも呼んじゃいそうだし。私その辺の切り替え下手だから」
「…なんかそんな感じがする」
「だから、まだ罪悪感があるかもしれないけど卒業までは先生って呼ばせてね」
「へいへい」
そんな話をしながら気がつけば先生のアパートの近くまで来ていた。外はもう真っ暗、二人で車から降りて並んで階段を昇る。久しぶりに来た先生のアパート。電気が灯されると前に来た時となんら変わっていない部屋。多分、初めてした時以来…?
「先生!私って初エッチ以来だよね、ここに来たのって」
「…急になんだよ」
「だって久しぶりだもん。前にいつ来たっけ?って思い出してたら初エッチの時だ!って」
「そうだけど。お前…自分で言ってて恥ずかしくねぇの?」
「全然。なんなら懐かしくて、あの時の先生が超格好良かったとかそんなしあわせな記憶しかないよ」
「…はぁ、そうかよ」
「でも…、先生の部屋って…、畳か」
「次は何だよ」
「だって一緒に住むならベッドがいいなって」
「今考えなくてもいいだろ?」
「だって最近、一緒に暮らすことしか考えてなかったから。あんなのがいいな、こんなのにしようかな、とか考えてたら楽しくって」
「ま、俺はそういうの考えんの苦手だし。お前に任せるわ」
「うん、任せといて」
「つーか、さっさとピザ頼もうぜ」
「私、マルゲリータ一択で」
「了解。あと適当にポテトとか頼んどくからな」
「ご馳走様でーす」