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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


突然始まってしまったいちかとの同居生活。意識し始めた異性と一つ屋根の下で暮らすなんてとても想像できなかった。なのにあいつは前から住んでたみたいに驚くほどこの家に馴染んでいた。

「あ、一君。おはよう!」
「……はよ。朝から元気だなお前は…」
「そう?普段と変わらへんけど」
「ったく10月になるってのになんでまだこんな暑いんだよ」
「高気圧がどうのこうのって言ってたで」
「高気圧ねぇ…。なんか冷たいもんある?」
「あ、あるよ。お茶?ポカリ?牛乳?」
「お茶でいい」
「はい」
「さんきゅ」

いちかは俺のコップにお茶を淹れ、受け取った俺は当たり前のように飲む。なんだよこの光景…、こんなのもう……。

「もうすっかり夫婦みたいね」

こういう時決まって余計なことを言うんだよ、うちの母ちゃんは…。

「え?そうですか?」
「母親の私がいなくても全部いちかちゃんに任せちゃっても大丈夫そうね」
「そんなことないです。私なんて全然…っ」
「料理もできるし優しいしこんな一を好きでいてくれるし。一が18になったらいつでもお婿に出すから」
「そういうのいいから。マジでやめてくれ」
「いいじゃない。二人が出会った頃に比べると随分進展してるみたいだし早くいい報告が聞きたいわ」
「後一押しだと思うので頑張ります」
「何が後一押しだよ。そんなことより俺の飯は?」
「いちかちゃんに頼んでくれる?」
「なんでだよ」
「将来のお嫁さんだから。あ、白ご飯だけいいならあるわよ?」
「おかずもねぇの?」
「ない」
「嘘だろ」
「一君、私今から目玉焼き作るけど食べるよね?」
「なんでお前が作ってんだよ」
「卵はいつも通り二個でええ?」
「食うけど…。断れよな、お前も」
「なんで?」
「なんでって…。居候だろ?朝飯くらい母ちゃんに作ってもらえ」
「まぁでも今は花嫁修行みたいなもんやと…。一君の好みとかちゃんと把握したいし」
「そうね、そうしてくれると私も助かっちゃう。結構面倒臭いとこあるのよ一って」
「え?そうなんですか?」
「例えばね…」
「……もういいわ。俺は朝から疲れた。とりあえず朝飯だけくれ……」

目の前でこういうやりとりしてんのもため息つきながら朝飯を待つのも毎度のこととなればいい加減慣れてくれてもいいもんなのにな…。上手い返し方一つできないままだな、俺は…。
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