第68章 ❤︎ 青城3年とルームシェア
「あそこの丘の上にある東屋に行ったら駐車場に戻ろうか」
「うん。そうだね。もう松川も帰ってくる頃だろうし」
「今日一日楽しかったよ。ありがとう、いちか」
「お礼なんていいよ。私もこんなに充実した気持ち久しぶりだもん
「なんとなく改まって言いたくなって」
「いーえ。今度はみんなで行けるといいね」
「そうだね」
東屋へと続く階段を一段一段登りながら一日を振り返ると自然に笑みが溢れる。帰ったらみんなでピザパーティをして、留守番組へのお土産だって沢山買ってるから喜んでくれるかなって考えるだけで顔が綻ぶ。
「ここからだと夜景が綺麗だよ」
“おいで”と手を引かれた先は及川の言う通り、綺麗な夜景が広がっていた。
「ほんとだぁ。すっごく綺麗」
「いいタイミングで来れたね」
「公園?なんて思ったけど来てよかったぁ。こういうのもテレビじゃなくて生で見なきゃね」
「そうだね、俺もいちかと見れてよかった」
「また上手いこと言って」
「じゃあ、このロマンチックな光景を背に俺からの最後のお願い」
「何よ。改まって」
「一回だけキスさせてくれないかな?」
「もう…、何言ってんのよ」
「だってさ、恋人っぽい時間過ごしたらキスしたくなったんだもん」
「一回だけだけよ?
「ほんとに!?いいの」
「今日のお礼も兼ねてね」
及川の満面の笑みと雰囲気に流されてしまったといえばそれまでだけど、東屋の柱に隠れるように静かに唇を重ねた。