第68章 ❤︎ 青城3年とルームシェア
「ちょ、待って。ここリビングだよ?お布団行かないの?」
「無理。もう待てない」
耳元で囁かれただけで胸は疼く。松川の湿っぽい声、久しぶりに聞いたけどそれだけでヤバい。付き合ってた頃、毎回こんな声聞いててよく死ななかったなって心底思う。
押し倒されて柔らかなソファが後頭部を包む。見上げた視線の先には松川。呼吸の合間に重ねる唇。“一静”って呼んでたあの頃みたいな愛情はもうないはずなのに、松川とこうやって体を重ねてキスしてるだけで骨抜きにされちゃうこの感じ。体の奥が熱を持ち始める。
「ここでしてて岩泉たち帰ってこないかな?」
「まだ大丈夫だろ?」
「でもさ、見られたらヤバくない?」
「見せてあげれば?男だったら嬉しいんじゃない?」
「え、じゃあ松川以外の男に例えば裸とか見られても大丈夫なの?」
「それとこれとは別」
「どうして?」
「いちかは特別だから」
「へぇ、そうなんだ」
「今からしようって時なのに、お喋りの方が良かった?」
「やだ」
「じゃあお喋りなこの口、一旦塞ぐな?」
「え?……ん、ぅ」
ニヤッと口角を上げた松川の人差し指と中指が口内を犯す。猿轡を付けられているように唇の自由は奪われて熱い吐息と溢れ出した唾液が口元を汚す。胸に顔を埋めながら視線は私に向けられて私の反応を愉しむように見つめている。
「ん…や、そんな、見、ないで」
「なんで?」
「恥ずかしいから」
「可愛いよ」
口元から溢れた唾液を舌で掬うように舐めとりながらもう一度口付ける。リップ音に混ざる水音は厭らしく鼓膜を揺らしてそれだけで理性なんて飛んでいっちゃいそうだった。
「久しぶりに会って俺の知らない間に随分いい女になったなって思ったよ」
「ほんと?」
「嫉妬するくらいにはね」