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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第41章 今世の私も、余す事なくもらってください✳︎不死川さん※微裏有


「いやいやあの手の無駄にプライドだけは高い男はやってきます。実際にあの男からの誘いを断った女性社員がプロジェクトの途中でチームを外されたりとか 過去にあったらしいですし」

「…あの男、そんな上の立場の人間なのか?」

「いいえ違いますよ。営業成績は…まぁ実際悪くはないみたいですけど、上の立場なのはあの男の親戚です。あの男の叔父らしいんですけど、随分と可愛がってるみたいですよ。公私混同もいいところですよね」


そう言いながら実弥さんの顔を見上げると


「…実弥さん?」


実弥さんは目をつぶりジッと何かを考えているようだった。


…どうかしたのかな?


そう思いながら実弥さんの様子を見守っていると、何か結論にでもたどり着いたのか、閉じていた目をパッと開き


「……んな馬鹿上司がいる会社に、お前を任せられねェ」


実弥さんは七光り男が消えて行った人ごみをジッと睨みながらそう言った。


「え?何をです?」


のんきな声で私がそう尋ねると、実弥さんが目をスッと細めた。


……かっこいい


その表情に目を奪われていると


「…おめェまた阿保なこと考えてんだろ」

「流石実弥さん。私という人間をよくわかってますね」


実弥さんが私の思考回路をいとも簡単に理解しくれることが嬉しくて、私は周りに人がいるにも関わらず、自分のこめかみを実弥さんの腕にグリグリと押し付けた。けれども


「…お前のことは誰よりもわかりたいと思ってる」


実弥さんが真剣な声色で放ったその言葉に、私は実弥さんにじゃれつくのをやめ、ジッとその三白眼を見つめる。


「何かありましたか?」


私がそう尋ねると、実弥さんは何か嫌なことでも思い出したのか、僅かにムッとした表情を見せた。そんな珍しい表情に、またしてもときめいてしまいそうになる胸をグッと抑える。

実弥さんは私から僅かに視線を逸らし


「……お前、俺がいなくなってから結構言い寄られてたらしいなァ」


珍しく歯切れの悪い様子でそう言った。


「……へ?」


実弥さんの口から発せられた言葉のあまりにも意外な内容に


…言い寄られた?…ん…私が…ん?誰に…?


私の頭の中にたくさんの疑問符が浮かび上がってくる。

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