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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第28章 雨降って愛深まる✳︎煉獄さん※裏表現有


「そうおっしゃるのであれば…是非ともご一緒させて下さい」

「それでは、すぐ準備して参りますのでしばしお待ちください!」


180度体の向きを変え、"慌てなくて大丈夫ですからね”と言う千寿郎様の言葉を背に自室へと急足で向かった。










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久方ぶりに外行きの着物を身に纏い、杏寿郎様と瓜二つのようで、所々違った雰囲気を持つ千寿郎様と並んで歩き、最近の杏寿郎様の様子について、そして私と婚姻を結ぶ以前の杏寿郎様の話に花を咲かせていると、目的の甘味屋のすぐそばまであっという間に辿り着いてしまった。


「千寿郎様!あの赤い旗の立ってるお店です!"茶屋鰯"!サツマイモののぼりが出ているでしょう?」


そう言いながらそのお店のある所を右人差し指で軽く指差すと


「…ふふっ…義姉上のそんな顔、初めて見ました」

「…え?」


千寿郎様になぜか笑われてしまった。


…私…そんな笑われてしまうような顔…していたのかな?


甘味屋を見つけ、はしゃいでいる自分を、自分よりもかなり年下の千寿郎様に笑われてしまい急に恥ずかしさを覚えた私は、両頬を手で覆い


「…っ…失礼しました…」


思わず立ち止まり俯いてしまう。そんな私に


「いえいえ!そんな謝ってもらう必要はなくて!ただ…義姉上が、兄上のお土産を買うためにそんな顔をしてくれていると思うと…とても嬉しくて」


いつもより更に穏やかに聞こえた千寿郎様の声色に釣られ千寿郎様の顔を見ると、とても優しい笑みを浮かべ私のことを見ていた。

その温かな視線が何やらとても恥ずかしく、頬に当てていた手のひらをスススと内側に寄せ、情けない表情を見られまいと顔を隠すように手のひらで覆った。


…もう…杏寿郎様の弟である千寿郎様にこんな恥ずかしい姿を見せてしまうなんて…不甲斐なし…ね。


なんてことを考えていたその時


「…っあ!兄上!」


千寿郎様のとても嬉しそうな声が聞こえ


「…え?杏寿郎様?」


覆っていた手を外し、顔を上げた。その視線の先に映ったのは


「…っ…!?」


夫である杏寿郎様と甘露寺様が、これから私たちが行こうとしていた甘味屋から出てきた姿だった。



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