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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第3章 奇跡の夜、口付けの朝



 夕月を拘束していた腕を解くと、臨戦体制だった夕月の体から力が抜けていく。

「何があったか知らないけど、やりすぎでしょ」

とっ散らかった部屋の、床に散らばった物を拾い上げる。
その中に随分古そうな小さな木箱があった。
蓋が開いてしまって中身が飛び出している。

写真……

そこには両親らしき人と小さな女の子が写っていた。
面影があり、一目でその女の子が夕月だと分かる。
じゃあこれは亡くした両親?
3人はとても仲がよさそうに寄り添っていた。

「これ夕月?変わらないね」

オレがその写真を拾い上げようとしたとき、

「あ!その箱の中の見たらあかん!!」

慌てて夕月がオレを止めようと走り寄ってくる。
しかし間に合わず、写真の下にあった一枚の小さな紙がパラリと落ちた。
すごく見覚えのある紙だった。
オレの字が書かれた紙。
今回の揉み合いでか少しくしゃくしゃになってしまってはいるが、
それは最初に来たときにお礼を書いて置いていった紙だった。

「あー、もう。今日サイアク……」

夕月が顔を手で覆いながら隣で脱力する。
手で隠しきれていない耳は真っ赤だ。

「ふふ、こんな大事にしまってくれてたなんて、嬉しいね」

わざとらしく言ってやると

「あー、もう、聞こえへん!!」

と、夕月は耳の穴に指をつっこんでオレから目を逸らし距離を取る。

そんなことするから余計にからかいたくなるんだけどね。

クックと笑っていると、いつものテーブルにどん、と乱暴にいつものお茶が置かれる。
ちゃんともてなしてくれる気はあるみたいだ。

「ありがと」

「ん……」

いつもの場所に座ると、いつもより乱暴に夕月が向かいに座る。

「で、何があったの?」

「別に。
意地悪してきたから、やり返しただけ」

まるで子供の喧嘩だ。
これ以上は何も言ってくれそうにないから話題を変えることにする。

「そう言えば、明日久しぶりに1日休みだから、ゆっくりできるんだ」

「ほんまに!?」

テーブルから身を乗り出すから、湯呑みに入ったお茶がこぼれそうだ。
でもそんなことには気づきもせずに、夕月が嬉しそうに目を輝かせる。
もし夕月が犬ならちぎれんばかりに尻尾を振っていそうだ。

もー、なんなんだろ。この可愛い子。

「うん。今日やっと大きい仕事がひと段落したから」

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