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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第2章 桜の香



 目を開けると見覚えのある天井が見えた。
ぼーっとする頭でまばたきを繰り返す。

「あ、起きた?」

いるはずのない人の声にばっと起き上がり振り向くと、本から顔を上げたカカシと目があった。
急に起き上がったからか、かすかに頭が痛んだ。

「どこか痛む?」

顔をしかめたわたしを見てカカシが腰を浮かす。

「……あ、もう大丈夫。
急に起き上がったから、頭がちょっと痛かっただけ……。
っあ!沙耶は?沙耶は大丈夫!?」

須藤が来た時、沙耶は張り倒されたように見えた。
怪我をしたり泣いたりしていないだろうか。
カカシはわたしの剣幕に驚いたようだったが、すぐに笑顔になると、沙耶が擦り傷だけで済んだことを教えてくれた。

「よかった……。
カカシが、助けてくれてんやんね?
ありがとう……」

「どーいたしまして。
もう大丈夫そうだけど、起きたら医者呼んでって言われてるからちょっと行ってくるね」

カカシが立ち上がる。

「自分で行くからだいじょ……」

布団から立ち上がろうとすると、カカシに肩を軽く押され布団に戻される。

「さっき意識無くなったばっかなんだから、大人しく寝てなさいな」

「……ありが、とう」

「ん」

カカシは満足そうに笑うと、軽い足取りで部屋を出て行った。
 
何でここにカカシがいるのかとか聞きたかったのに、聞きそびれちゃったな。
でも、会えた。
それだけで嬉しくて、わたしはさっきまで怖い目にあったことも忘れて、顔が緩むのを感じていた。


医者に診てもらい異常がないことを確認した後、またカカシと部屋で2人きりになる。
前の時みたいに、テーブルを挟んでお茶を飲む。

「わたしな、刃物見るとあかんねん……。
頭、真っ白なって息もできんくなって」

思い出しただけでざわりと嫌な感覚に囚われる。

「うん。夕月が寝てる間に、楼主に夕月の過去のことちょっと聞いた。
勝手に、ごめん……」

「ううん。秘密にしてる訳じゃないから大丈夫」

 わたしが6歳の頃、家に強盗が押し入って父と母が刃物で切り付けられ殺された。
わたしも刺され重傷を負ったが、奇跡的に一命をとりとめた。
でも、わたしはそれ以来刃物を触るだけじゃなく、見るだけでも調子が悪くなってしまうのだ。




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