第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
一緒に帰ろうなんて言ったわりには話すことなんてないし考えてなかった。ただ一緒にいたいなって思っただけ。でも2人きりは嫌だと言われたら怖くて研磨を巻き込んだ。
気を利かせたのか本当なのかは分かんないけどもゲーム買いに行くって途中で離脱されちゃったんですけどね。
そんで極めつけはフルシカトですよ。
『鉄朗身長伸びた?』
「ぁえ?」
不意の質問に変な声が出た。
『あ、いや、こんなに身長高かったかなーって思って。』
「まあ伸びてると思うけど」
『そっかあ!いいなぁ〜』
「なんで?身長欲しいの?」
『うん欲しい!だって背高い方がスラっとしててモデルさんみたいじゃん!』
俺の事モデルみたいって言ってるように聞こえますよ。ナチュラル発言に何回トキめけばいんだよ…。
は確かに背がある方では無い。でも女の子の中じゃ平均くらいか?ちっせーわけでもないしな。
『それに鉄朗と話すと背高いから首痛いもん』
そう言って見上げてくる彼女は小動物みたいでホントに可愛らしい。
「はそのままが可愛いですよ」
思わずそう返してしまった。
『からかわないのっ』
ぽこっと可愛らしい効果音がつきそうなパンチをくらった。物理的ダメージがゼロなパンチもからだと心臓がぎゅんぎゅんして痛ぇ。
「あ、そういや合宿とかどーすんの?」
『森然の?』
「そのまえに梟谷で2日間あるよ。森然はそのあとね。木兎が今年もお前いんのかなって言ってた。」
『そっか、2回あるのかぁ。
木兎くんは相変わらず元気?』
「そうね、クソ元気。」
俺としては来て欲しい半分来て欲しくない半分。合宿中も会えると思ったらそりゃもう頑張れる。けど、あんっなムサイ男だらけの合宿にこんな天使を放り込めないでしょ…。去年だって囲まれて大変だったんだから。
『合宿こそ皆に集中してほしいし、もちろん行くよ』
「そっか、ありがとな。」
『いえいえ、力になれたら嬉しいな』
俺からしたら居てくれるだけでパワースポット。大袈裟とかじゃなくてほんとまじで。