第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
部活終わり、鉄朗に言われた通り私たちは研磨くんと並んで3人で帰る。中学校が一緒だっただけあって家はわりと近い。
研磨くんと鉄朗はもっと前からの仲らしいけど。私は中学校でこの2人に初めて出会った。
「ねえクロさ」
「ん?」
「ギャラリーの人達なんで帰ったの?」
「あー、俺らにとって部活の時間がどんだけ大切か分かってないなら邪魔ですよって言っただけです。」
「ふーん、まあ静かになって良かったしありがと。」
そ…そんなこと言ったんだ。
しかも3年生の先輩に…っ!
「はさ、俺らが頼んでやってくれてんだから堂々としててよ」
ポン、と私の頭を撫でる大きな手。
『…ぅん。男バレの皆がそう思ってくれてるだけで十分だよ…ありがと鉄朗。』
いい加減慣れなくちゃいけない。
強豪の男バレと一緒にいることがどんなに周りの人の反感をかうか…ちゃんと…、っ
「は真面目だから…でも俺たち1年だってがいることでどれだけ助かってるかちゃんとわかってるから。」
鉄朗と研磨くんの優しい言葉が心のモヤモヤを晴らしてくれる。
『2人は優しいね…ありがと。』
こんなに優しいふたりだから…この人達のチームだから…私は力になりたい。少しでもプレーに集中できる環境をつくりたい。
鉄朗も研磨くんもバレーをしてるときが1番輝いてるから。
彼らからバレーを奪いたくない。
「俺新作のゲーム買いに行くからここで。」
『あっ、うんまたねっ』
「ゲームは程々にしなさいよ〜」
鉄朗を無視した研磨くんがふらーっと私たちから離れて足早にゲーム屋さんへと向かっていく。
『相変わらず仲良しだね研磨くんと』
「いや今の見てた?フルシカトですよ」
『鉄朗に心許してる証拠じゃない』
「まあ…そうかね」
隣を歩く彼はゆっくりと私に歩幅を合わせてくれている。