第10章 約束 ( 北信介 )
放心状態のクラスメイトを放置して信介くんと教室を出る。
「あいつと仲ええの?」
『え?ううん、名前と顔しか知らん』
「ははっ俺の彼女はクールやな」
『よく言われます〜』
たまには屋上で食べようと2人で階段を上る。外は快晴の屋上日和。
「2人で昼食べるん久々やな」
『そうやね、まあクラスちゃうしな』
「これからはたまにでええから2人で昼飯食おな」
『うん、私もそうしたい
…ていうかさっき彼女って言うてくれたけど周りにバレてもええの?2人でおるんは今更誰も何も言わへんと思うけど。』
私たちが幼馴染だと知っている人は周りに何人かおるし、2人きりでおっても相変わらず仲ええなくらいにしか思われへんと思うねん。
「そうやな、いちいち言うことちゃうとは思ってたんやけど。に気がある男を目の前にしたら言ってもうてたんよ。」
少しはにかんでそう言った。
『それって…』
「俺のやからなって言いたなったんよ」
『な…っもう、』
「はは、自分で聞いたんやろ?
顔赤いで可愛い」
『も、もうなんなん…っ!
こんな甘々な信介くん知らんよっ』
「彼女は甘やかしたいやんか」
ああもうダメや…甘すぎて溶けそう。
「なあ、キスしてええ?」
『こ、ここ学校…っ』
「だーれも見てへんから、しよ。」
いたずらに笑う信介くんに見つめられては逃げられない。私には頷くしか選択肢がない。
「ふは、お利口さんや」
ゆっくりと近づいてきた唇が重なる。手に持った箸を落としそうになるのを堪えて信介くんが離れるのを待つ。
『…っん』
「すまん苦しかったか?」
『どうやって息したらいいか分からんくて…』
「せやな、ゆっくり2人で覚えてこな」
優しく微笑んで頭を撫でられる。
あぁほんまに信介くんの彼女になれたんや。
トクトクと脈打つ鼓動に実感させられる。