第7章 夏の思い出
さすがにお盆と言うこともあり、現地に着いたのは昼前だった。
高台の別荘地の中にある為、周りは緑に囲まれていて静かで良い所だ。
海もほど近く、時より吹く風は潮の匂いが混じっている。
車が停まり、目の前にはログハウス風のお洒落な別荘が見える。
皆のテンションがさらに上がった。
侑「うわー‼︎凄っ‼︎めっちゃええやん‼︎俺一生ここに住みたいわ‼︎」
治「ホンマやな‼︎かよこさん実はめっちゃセレブなんちゃうん⁉︎」
車から降りるなり、2人は子供みたいに目をキラキラさせ興奮している。
かよこ「ハハハッ期待以上の反応で嬉しいわ。親が遺してくれた別荘なの。
でもなかなか管理が大変でさ、早速みんなにも手伝ってもらうからねー?」
任せといて下さい!と胸を張る2人が可笑しくて私とあやかさんは顔を見合わせ笑った。
かよこさんの指示で男の子達は荷物運びをしている中、私は換気の為、全ての窓を開けていく。
リビングの大きな窓を開け、ウッドデッキのテラスに降りる。
ここに来るのは2度目だが、私はこのテラスが1番のお気に入りだ。
柵に身を預け景色を眺める。
遠くの木々の間から僅かに海が見える。
「綺麗…。」
去年ここに来て生まれて初めて海を見た。
その感動は今でも覚えている。
キラキラと光る水面や、潮の匂い、水平線に沈む太陽。
何もかもが綺麗だった。
私は目を閉じ、空気を目一杯吸い込む。
潮風が心地良く髪を靡かせた。
治「うっわー!めっちゃ眺め良えなぁ!」
振り向くと、食材の段ボールを持った治君が立っていた。