第32章 侑end
治「別にツムの肩を持つつもりはないけど、アイツともみちゃんが居らんくなってからずっとバレーだけに打ち込んでたんよ。アホみたいに。」
治君の目がどこか懐かしいものを見るかのように細められる。
治「飢えた子供みたいに、食べても食べても腹一杯にならんのか、ずーっとバレーしとって。
ぽっかり開いた穴をバレーで埋めてたんやろな。」
侑君…
胸がぎゅっと締め付けられる…。
治「俺が高校でバレー辞める言うた時もアイツめちゃくちゃ怒鳴り散らして、殴ってきたんよ。
まぁ俺も頭きて殴り合いになったんやけど、そん時言うたんや…。
"80になった時、俺より幸せやって自信持って言えたんなら、そん時もっかいバカにせい!"
って。
・・けどアイツ、このままじゃ俺の事、一生バカに出来ひんのちゃうかな、って…。」
「・・どう言う事…?」
治君の真っ直ぐな目と視線が重なった。
治「今のツム、幸せそうに見えへんから。
アイツの開いた穴、埋められるんはともみちゃんしかおらんのとちゃうかな。」
ーー
それからしばらくしてパーティーがはじまり、あやかさんと蓮さんの幸せそうな笑顔に見てる私達も心が温かくなった。
けど、私の頭の隅では先程の治君の言葉が頭にこびりついて離れなかった…。