第22章 迷い。
数日前、侑君が全日本のユースに選ばれた。
それは本当に、本当に凄い事で。
将来有望なバレーボール選手として、いずれは日本を背負って立つ選手の1人になるかもしれない。
そんな夢を追いかける彼とは裏腹に、私には追いかける夢がない。
将来のビジョンも何も思い描けない…。
臆病で寂しがり屋の私は、侑君が「側いろ」って引き留めてくれたら、きっと首を縦に振ってしまう。
けど侑君は、、、違った。
侑「将来の事とか、進路の事?難しい事は俺にはようわからんけど…もっぺんかよこさんとも相談してみたらええんちゃう?」
私より一歩も二歩も、、随分先を歩いていた。
「・・そうだね。」
上手く笑えたかは分からないけど、口を端を上げて頷いた。
その後は他愛のない話をして、侑君は部屋を出て行った。
1人になり、ベッドに寝転び目を閉じる。
期待していたんだと思う。
侑君なら強引にでも引き留めてくれるかもって。
自分で答えが出せないからってそれを侑君に委ねようとしてた。
「私ってずるいなぁ…。」
鼻の奥がツンと痛む。
結局その日はなかなか寝付けず、そのまま朝を迎えてしまった。