第9章 文化祭
すでに体育館の周りは賑わっていた。
来年入学するかもしれない中学生や、近隣の年配の方、私服を着ている他校の学生。
そして一歩体育館の中へ入ると、応援席はすでに埋まっていて、私は迷わず2階に上がり、なんとか1人分のスペースが空いていた隅で見ることにした。
コートにはユニフォームに身を包んだバレー部員達がそれぞれチームに分かれ円陣を組んでいる。
ユニフォームの上からゼッケンを付けているチームが赤、付けてないチームは白のようで侑君と治君は赤、倫太郎君は白チームにいた。
下の応援席から女の子達が黄色い声援を送ると、侑君が手を振り笑顔で応えている。
中にはアイドルさながら侑や治と書かれた団扇を振る女の子達もいた。
凄い人気…
そんな光景を上から眺めていると、治君が2階にいる私に気付き手を振ってきた。
こんな隅にいるのによく気づいたな、と驚きながら私も小さく手を振り返した。
主将の合図で選手達がそれぞれコートに並び挨拶をする。
そして笛の合図と共に、いよいよ試合は始まった。