第9章 文化祭
それは3日前。
文化祭の後夜祭で毎年恒例のイベント、ミス稲荷崎とミスター稲荷崎を決めるコンテストがあるらしい。
自薦他薦問わず誰でも参加出来るらしいが、各クラス1人以上は候補者を出さなければいけないらしく、うちのクラスは未だに候補者が出ていなかった。
休み時間、いつものように読書をしている私の元へ実行委員の佐々木さんと町田君がやってきた。
佐々木「原さん!お願いや!クラス代表してミス稲荷崎に出てくれへんかな⁈」
「出ないですよ。」
あまりの即答ぶりに目の前の2人が頭を抱えた。
町田「ホンマ頼むよー!今日までに候補者出さないとあかんねん。クラスのみんなも原さんを推薦しとるし…。」
町田君がチラッと周りのクラスメイトに視線を送る。
「うちのクラスなら原さんしかおらんやろ。」
「原さんなら1位とるかもしれへんで?」
などの声が聞こえてきた。
私は本を閉じ、眉間にシワを寄せ考え込む。
「・・それって大勢の前に出たりとか、話したりしなきゃいけないんですよね…?」
私の質問に、佐々木さんの表情がパッと明るく変わった。
佐々木「それが今年から変わったらしくて。
携帯のアプリからアンケート機能を使って投票するから候補者は写真をアップするだけでええねんて!」
町田「そうそう!せやから写真何枚か撮って自己PRを一言添えれば終いや。なんならPRは俺らで考えとくし!な?これならハードルも高くないやろ?」
「・・・写真を撮るだけなら…。」
蚊の鳴くような声で返事をすると、佐々木さんは、私の手を取り
「ありがとう〜‼︎」と叫びながら腕をブンブンと振り上げた。
この時は2人に協力したい気持ちもあり、あまり深く考えずに了承したけど。。
後悔先に立たず、とはこの事。