第9章 文化祭
そしていよいよ文化祭当日。
1日目は学生のみで行われたが、2日目の今日は所謂本番、一般のお客さんも来校する。
その為、私は裏手でクレープの生地作りに追われていた。
すでにかなりの量を作っている為、泡立て器を回す右手は悲鳴をあげている。
「原さーん!生地出来た?もう店の方無くなりそうやー」
お店の方から声が掛かり、慌てて手を動かす。
「今、持って行きます!」
寸胴を抱えお店に出て行くと、模擬店が並ぶ通りは沢山の人達で賑わっていた。
店番の人に寸胴を渡しホッと一息付くと、はっぴ姿の佐々木さんが息を切らして走ってきた。
「原さーん!コンテストの中間結果見た⁈」
佐々木さんは携帯を掲げて見せた。
「・・・?見てないです。」
やっぱり。と言い佐々木さんは携帯の画面を開くと、私の顔の前に押し付けてきた。
「・・・・えー。」
思わず不満の声が漏れてしまった。