第9章 文化祭
「とりあえず離れよ?」
佐々木さんは私の手を引っ張ると、そそくさと場を後にした。
ひとまず駐輪場まで来ると、私達は同時に息を吐いた。
「マジで怖いわ〜!さっきの睨んできた人、先輩やんな?」
以前、あやかさんから2人のファンクラブがあるとは聞いていたけど、想像以上の人気ぶりだった。
「・・とりあえず治君にはラインして先に帰ります。」
「せやな。てか家どっち?途中まで一緒に帰ろ?」
偶然にも家の方向は同じで、佐々木さんは自転車を轢き私のペースに合わせて歩いてくれた。
別れ際、佐々木さんにこれからは学校で治君とイチャつくのは気をつけた方が良い、と言われた。
少し勘違いしてるようだったけど、確かにあれだけの人気ぶりを目の当たりにした今、佐々木の言う通りだと私は頷いた。