第6章 体育祭、それぞれの想い
《カウントダウン、スタートだぁあーー!!
5 》
プレゼント・マイクのカウントダウンが始まると同時に、バラバラと生徒達が空から舞い降りてくる。
周囲では空中で辛うじて騎馬を組み、騎手役を地面に落とさないようする生徒。飛行可能な個性により危機を逃れる生徒達がいた。
猫柳さんは俺としか騎馬を組んでいない上に、彼女の個性では落下を防げるとは考えにくい。
失格になれば猫柳さんの頑張りも水の泡となってしまう。
《 4 》
「一気に片をつける…!!!」
プレゼント・マイクのカウントダウンが、より俺のなけなしの余裕を奪ってゆく。しかし、それと同時に頭の中はクリアになっていった。
混成大夥により大量のタコ足と、タコの表面にアサリの貝を表現する。自分に巻きつけ、タコ足で守備に徹するかのように隙間なく囲んだ。
それを狙った生徒達が一斉に俺への攻撃を繰り出した。
「天喰は貝で防御に徹したぞ!!」
「騎手の所には行かせねぇー!!」
「誰が防御に徹した?」
俺に攻撃を繰り出す生徒達が一斉に群がる。俺はスゥ…と息をしながら顔を上げた。
《 3 》
この瞬間を待っていた…!
貝で硬化したタコ足で、全ての攻撃を弾きながら全敵をなぎ倒した。
「攻撃力を上げるための貝だ!」
俺の周囲に居た生徒たちは弾き飛ばされ、騎馬を崩した生徒も少なくなかった。
「ハチマキは貰うよ」
倒した生徒たちのハチマキを瞬時に回収する。ハチマキの獲得は多いに越したことはない。
「猫柳さん…ッ!!」
何処だ?!どこに居る?!
声を荒らげ、必死に辺りを見回し猫柳さんの姿を探す。
「天喰くん!!!」
「ッ!!猫柳さん!!」
猫柳さんの声がする方へ向けば、猫の姿で騎馬や生徒たちを渡り走っていた。
生徒の上を渡り歩くのは失格ではないのかというアナウンスが聞こえたが、地面に落ちていないためセーフのようだ。
しかし、タイムアップの前に自分の騎馬にいないと失格になる…!!
「天喰くん!!ハチマキ取ってきたよ!」
本来の猫なら考えられない脚力は、まるで空を飛んでいるようだ。