【MARVEL】This is my selfishness
第14章 12th
翌日、わたしは寝れたような寝れてないような、なんだかすっきりしない頭で起きた。
バッキーのせいだ。いや、バッキーのせいというのは確実にわたしの押し付けだけど。
雨のことだと分かってはいるはずなのに、「俺も好きだ」と言われた時、わたしの頭は勝手に一瞬だけ、本当に一瞬だけ。
自分のことを好きと言われたと解釈してしまった。
でも本当に一瞬だけ(何度でも言う)だったからすぐに頭をフル稼働してその解釈は間違っていると自分を叱責した。
それからは頭の片隅で「俺も好きだ」という言葉がリフレインされて自分がどう過ごしていたかいまいち覚えていない。強いて言うなら多分挙動不審だった。
夕飯からいつもの【月曜日のお茶会】に流れていったけれど、それぞれお風呂に入ることを考えていつもより早めに切り上げた。今日のクラブに行く予定のためにも、ということで。
……ああ、もう、忘れないと。気にしないようにしないと次会う時に恥ずかしいのはわたしなんだから。
顔を洗って歯磨きをして、先に洗濯物を済ませておこうとランドリーバック、スマホ、鍵を持って部屋から出る。
「ああ、ちょうど良かった」『ォワッ』
玄関から出てすぐの所にバッキーがいてびっくりした。
わたしのびっくりの仕方に「フッ」と小さく笑うバッキーに朝から癒される。何でも笑ってくれるね、、、。
「おはよう」
『おはよう。ちょうど良かったって?』
彼は言いにくそうに「あー…」と髭を摩る。
「仕事が入ったんだ。今から」
『えっ』
「今日中には戻ってくる。だからクラブに行くのは─────」
『気をつけてね?クラブは今度にすればいいし、』
「…戻ってきてからで良ければ、そのあとクラブに行こうと言おうかと」
バッキーは鍵をもつわたしの手を取り握り、スリスリと指の腹で撫でる。
『、でもそれじゃあバッキー疲れてるでしょう?』
「大丈夫だ。むしろ帰ってくる理由ができてすぐに終わらせれる」
だから約束は生かしておいてくれ、と言われてしまえばわたしは断ることが出来ない。