【MARVEL】This is my selfishness
第12章 10th
……戻らなきゃ。
好き!という気持ちを落ち着かせてから、玄関の扉を開けて部屋へ戻ると、バッキーは変わらずベッドに座ったままだった。
「おかえり。どうしたんだ?」
『ううん、なんでもない…ことはないんだけど、ちょっと用事を思い出してケリーさんに電話してた…あ!ごめん、ピザ食べるの待ってたの?』
ピザが1ピースたりとも減ってないことに気づく。
食べてていいよって言っておけば良かった…!
「俺が待ちたくて待ってただけだ。それよりテレビは止めようとしたら画面が変わってしまった」
「前、教えてもらったのにな」という言葉にテレビの画面を見てみると、観ていたドラマの画面ではなく、サブスクをつけたときにでるホーム画面になっていた。
どのボタンを押せばいいのか分からなくてあたふたしていたのかと思うと可愛い。見てみたかったと思った…危ない、またすぐに好き!モードになるところだった。
『大丈夫。ホーム画面になっただけだからこのままこれを押せば…』
ボタン操作を見せながら押すと先程観ていたドラマに戻った。ピザが届いた頃に流していたところまで巻き戻す。
『えっと、ピザのお金のことなんだけど、』
「ああ」
『その、今回はバッキーのお言葉に甘えて、次、また何かの時にでも奢らせて…?』
「…次があるのか」
『え?』
「…いや、何でもない。次、何か期待しておくよ」
その前の言葉を聞き取れなかったけれど、期待しておく、と言ったバッキーは嬉しそうに笑っていた。
ドラマを続けて観ているのも目が疲れる、ということで一旦テレビの画面を消すことになった。
改めてコーヒーを淹れて(もちろんわたしのはミルク入り)、ホッと一息。
『ピザでまだお腹いっぱい』
「そうだな」
『ふふ、バッキーはわたしよりお腹いっぱいだよね』
ピザは2枚頼んだけれど、わたしが4枚ほどでギブアップした。
残して冷蔵庫に入れておくことも考えたけれど、バッキーが買ったものだし、バッキーが買ったものだからまだ食べれるなら食べて、と言ったらみるみるピザがなくなっていった。
あまりにも綺麗になくなっていくから『すごい!早い!』とはしゃいでしまった。