【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
そう言いながらわたしの膝裏に差し込んだ手を動かす。
いや、わたしが今言いたかったのはパンツが見えちゃうとかじゃなくて───確かに隠してもらうのは大事だけど────わざわざ抱っこしてもらわなくても、ということを言いたかったのに。
「家まで送ってもらおう」
集まる人々を縫うように歩いて行くとすぐに地下駐車場を出て地上に出た。
警察の車や軍事用のような車の中の1つに近付くと一言二言、中にいた人と話すとわたしを車の後部座席へ下ろしてくれた。
『…バッキーも帰るんだよね?』
「ああ」
返事をしてすぐにバッキーも後部座席へ乗り込む。
そのまま横に座るかと思いきや、わたしを引き寄せ横抱きにするように膝の上へと乗せられる。
『?、あの、』
バッキーの手がわたしの靴を脱がす。
わたしがちゃんと座席に座っていないにもかかわらず、車は動きだした。
「靴に履き替えたのは良い判断ではあったな」
両足とも脱がされた靴は横に置かれた。
『…スリッパだと万が一の時に困るかなって思って…。でも鍵、全部閉めたのにチェーンのロック、忘れちゃってて』
「ああ、それでか」
『マスターキー、持ってたみたい』
ホテルに泊まりたいと言ったことも失敗だったけど、まだあの時チェーンのロックまでしていれば。
わたしが人質になることも無かったかもしれないのに。
「それで?なんで無茶してガウン脱いだんだ?結果的には助かったものの危なかったぞ」
『わたし達を追いかけてたサムさんのロボットが見えなくなったから、もしかして何かするのかなって思って…その時にバッキーも銃を落としたから……一か八かだったけど』
自分でもあれはまるで自分じゃないような行動だった気がする。
「よく見てたな。あの銃、弾切れしてたからどっちにしろ使い物にならなかったんだ」
「サムが旧式の拳銃寄こしたせいだな」とわたしにはよく分からない冗談(?)を言って笑った。