【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
その声の方向を見ると、サムさんがレオポルドさんが預けている柱よりも後ろのほうの車の影から出てきたところだった。
「ウォウウォウ!バッキー、上着貸してやれよ」
抱き締められていても圧倒的に布が無いわたしの格好を見たサムさんは手で自分の顔を覆ってこちらを見ないようにしてくれた。
「ミア、そのまま俺にくっついててくれ」
『う、うん』
胸の前で腕をクロスしたまま、出来るだけバッキーのほうへ身を寄せ、頭を下げる。
その隙にバッキーがわたしを見ないようにしながら上着を脱いで、そのままわたしの肩に掛けてくれる。
「腕通して前を閉じてくれ」
バッキーはわたしの背中側に回り、背中合わせのように立った。
多分、サムさんのほうから視界に入らないようにしてくれたんだと思う。
言われた通りに腕を通してジャケットのファスナーを閉じ、ホックまで留めた。
けれど丈が微妙で前を引っ張れば後ろが上がって丸見えだし、そのままだと前も後ろも見えてしまう。あと何故か左腕の袖が無い。
『バッキー…』
「どうし、」
『待って、まだ振り返らないで』
振り返りそうだったバッキーの体を押し戻すようにして止める。
『あの、下がね、その、、隠せなくて…』
「……」
『あそこのガウン、腰に巻きたいんだけど…』
ガウンであればそもそもワンピースのようにおしりまで隠れるのだからそれを着れば、バッキーのジャケットも必要ないのだけれど、さっきの状態だと隠さないことにはバッキーから離れれなかったし、ましてやガウンは何かと肌けやすい。
だったらこのジャケットを着ている状態で腰巻きにしたほうが勝手が良さそう。
「サム」
「?どうした?」
「そこのガウン、投げてくれ」
「これか?…ほらよ」
足元に落ちていたガウンを拾ったサムさんは少しそれを丸めるようにしてバッキーへ投げてくれた。
それをすぐさまキャッチしたバッキーがこちらを振り返らないようにして渡してくれる。
『ありがとう…ん、もう大丈夫』
隠したいところは隠せた、とバッキーに知らせると振り返るのと同時にまた抱きしめられた。
『バッキー?』