第3章 家族の絆ー後編ー
桜の鎹鴉は最後を見届けた後、目に大粒の涙を溜めて飛び立っていった。
「…そうか。頑張ったんだね、桜は」
「……お館様」
産屋敷耀哉は庭で鎹鴉からの報告を受けていた。
隣には耀哉の妻、あまねが寄り添うように立っている。
「桜は杏寿郎と似ていないようでとても似ていた。心の奥に灯る炎は二人とも同じだった」
「…強く、そしてとても優しい方でしたね」
「黄泉の国へ旅立ってしまったのは寂しいけれど、いつの日か、きっとまた会えるような気がするんだ」
産屋敷耀哉は空を見上げてフッと笑う。
目は見えなくても分かる。
今日はとても澄んだ青空だ。
「……お疲れ様、桜」
どんな時も光輝いていた君のことを、私は決して忘れないよ。
今まで鬼殺隊の為に頑張ってくれてありがとう。
いつか再会するであろうその日まで、お別れだ。