第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
現場までは木渡りで走っていったんだけど、いつもと違ってペースは速い。
けれど全然息は切れないし、チャクラコントロールは上々。
半年前と比べたら断然にいい。
いつもの任務と比べたら距離はある…気がする。
止まれ、の合図が出て、私達は手近の木の枝に止まる。
眼下に見えるのはテントや昔懐かしの家屋を幾つかを形成している集落…って言えるのかな。
随分とチグハグな印象は受けるけど…。
トウキ達にも聞こうと思って見ると、二人とも汗ダラダラで呼吸も荒く、座って休んでいる。
…兄ちゃんの鬼特訓は伊達じゃないんだな。
私、ピンピンしてるもん。
とりあえず、休ませてあげよう。
「スケアさんはここ来た事あるんですか?」
「ないよ、初めて来るな。」
「んじゃ、あの風景ってどう思います?」
「…お前はどう思う?」
「えぇ〜…、私が答えるんですか?」
何で答えてくんないのさ。
…答えるけれども。
「テントが不自然で、集落って言うには歪っていうか…。」
「ま、その通りだよ。見たまま、村が掌握されてるんだろうね。」
人の事言えないけど、淡々としてるな、この人。
「…任務は忍崩れの制圧、で良かったんでしたっけ?」
「そうだ。被害拡大を防ぐために戦力を削ぐ。その為にはここの一角だけでも壊滅に追い込む。」
「村の人は?」
「里の近くに仮設だが、避難所を設けてある。一時的にそこへ移り住んでもらう予定だ。」
「この人数で避難もやるんですか?ご老人とか歩けない人とか…。」
「それは大丈夫だ。村人達が助け合ってやってくれるだろう。…意外に色々考えてるな。」
にっこりと笑う顔は誰かを彷彿とさせ…って。ちょっと待て。