第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「今から行くところは、ここから南西方向にあるアジトだ。忍崩れが数多く集まっていて近隣に被害が出始めている。」
「被害って…、略奪とか?」
「そうだ。それで怪我人や死人も出ている。」
荒くれ者イコール強奪のイメージで言ってみたら、まんまだった。
「女子供が攫われるケースも出始めているみたいだな。」
スケアさんは淡々と読み進めている。
「下忍、中忍クラスの構成で、少数単位で纏まっているらしい。丁度君達と同じくらいとみて間違いないだろう。」
少数ってどれくらいなんだろう?
「人数は大体七人前後とみている。」
…また読まれた?
「…自覚はあるみたいだね。」
またか…。
がくっと肩を落とした。
「忍崩れなんですよね?それも俺達と同等の。それが七人前後って…、大丈夫なんですか?」
「ってことは、俺達には荷が重いんじゃ…?」
トウキとユウは少し不安そうにスケアさんを見上げる。
だが彼はちらりと二人を一瞥しただけで、また任務票に目を落とす。
その様子に、二人は戸惑う様に互いを見合った。
これは…。
今回の任務荷が重いかな?
「スケアさん。ちょっと三人だけで話してもいいですか?」
「…いいよ。」
それを聞くと、私は二人を引っ張って少し離れた。
(どうする?今回はやめとく?)
私が小声で単刀直入に切り出すと、二人は少し狼狽始める。
(な、に言ってんだよ…。)
(べ、別に、俺達は…。なあ?)
完全に及び腰だね…。
やめよう、と言い出そうとした時、
「因みに、この任務に成功すれば中忍試験に有利だぞー。」
こちらの会話が全部筒抜けなんじゃないかってほど、グッドタイミングで声が割り込んできた。
案の定、弱腰だった二人の目の色が変わる。