第7章 総長と参謀
「……なるほどなぁ」
アタシが話し終わって最初に反応を示したのは、スマイリーだった。
「良いんじゃねーか?オレは賛成」
「!」
「またテメーは随分簡単に頷くな、スマイリー」
「んだよ、ムーチョは反対かー?」
スマイリーの問いに、ムーチョは「いいや」と首を横に振る。
「オレも賛成だ。現状、不安定な参番隊を解体して新しく立てる……潔くて良いじゃねーか」
「……そうだな」
スマイリーに続いて賛成するムーチョに、三ツ谷もゆっくりと頷いた。
「稀咲が何か企んでンのかどうかは、今オレらが考えてもわかんねーし……単純に50人分戦力が増えるってのは、オレも良い話だと思う」
「三ツ谷……」
まさか三ツ谷まで賛成してくれるとは思ってなかった……アタシは、驚くまま三ツ谷をじっと見つめる。
「……なんて顔してンだよ、ユウ」
今のアタシがどんな顔してンのか、わかんないけど……三ツ谷はフッと可笑しそうに笑った。
「オマエが、東卍の事考えて出した答えなら、オレ達は従う。……だからもっと偉そーにしてろ、参謀どの」
「オレら相手に気ィ使い過ぎだ」と、三ツ谷はまた笑った。
その優しさが、アタシには有り難かった。
「……話は纏まったな」
ずっとみんなの様子を見てたドラケンが、静かにそう言う。
マイキーが頷くのを確認して、ドラケンは場地に目を向けた。
「マイキーとユウが決めた事だ。今日のところはテメーが折れろ、場地」
「チッ!」
場地は、デカい舌打ち一つ鳴らすと、クルッとアタシ達に背を向け、この場から去って行ってしまった。
「圭介!」
追いかけようとするアタシを、ドラケンが止める。
「ユウ、やめとけ」
「でも……」
「アイツにも頭冷やす時間がいんだろ。集会始まるまでは放っとけよ」
「……ハァー」
アタシは一つ息を吐いて、「ん、わかった」とドラケンに頷いた。
その後、幹部会議は解散になって、アタシはマイキーに呼ばれてそっちに向かう。
チラッと、場地が去って行った階段の方に目を向けた。
「………」
場地を怒らせてしまったからか、胸の中が騒ついて落ち着かない。
アタシにはなんだか、嫌な予感がした。